第33回公演『藤田嗣治~白い暗闇~』出演者コメント
2026年3月に東京芸術劇場シアターウエストにて上演する、第33回公演『藤田嗣治~白い暗闇~』の出演者が、決定しました。
出演:石橋徹郎(文学座)、佐乃美千子(劇団印象)、斉藤悠、後東ようこ、二條正士、木山廉彬、椎名一浩、笹野美由紀、河野賢治、とくながのぶひこ、森本遼、井上一馬(イッツフォーリーズ)
以上の12名です。

出演者のコメントは下記の通りです。
石橋徹郎(藤田嗣治役)コメント
本来、人は助け合う。それが涙が出るほど嬉しいことを知っているのに、嫌な方の涙を流して流して流して、絶望する。人生の主題とはなんなのか。奥深い心と想像力を持って、目の前にあるものをひたすら見る。そこに、宇宙の大存在を見ようとする。敵味方の区別がつかない、むごたらしい地獄絵を描く。すると、一緒に生きているはずの仲間から、なぜ描いたのかという空虚な問い。ただ一生「仕事」を続ける。いつか自分の生き甲斐を知ることができるか。
芸術が、人々が仲良くなれるものになれば。握手できるものに。涙が止まらない取り返しのつかないこと、現実ではもう取り返せないかもしれない。でもせめて、心の中で。未だなるもの。
佐乃美千子(藤田君代役)コメント
藤田嗣治の5人目の妻・藤田君代役を務めます佐乃美千子です。生涯で国籍を問わず沢山の妻を持った藤田ですが、晩年の藤田を30年近く支え、日本に捨てられた彼と共にフランスへと渡り、最期を見送ったのは彼女でした。君代夫人は生活を共にしながら、彼が刻んだ作品の裏にある愛情や苦悩をどう見つめていたのか。その眼差しを通じて藤田嗣治の真実に迫ることが出来たらと思います。
斉藤悠(村中青次役)コメント
村中青次を演じさせて頂く斉藤悠と申します。元来の楽観主義者です。最初にこの戯曲を読んだ時にこの本の力強さに圧倒され、そして、劇中の村中青次の役割の大きさに恐れ慄きました。が、まぁ何とかなるだろうを合言葉に時に大胆に時に繊細にと励んでいこうと思います。
劇団印象は初参加で共演者もほぼほぼ初めての方ばかりですが皆で助け合い、高め合って素晴らしい作品にしていければと思います。皆様どうぞよろしくお願い致します。
後東ようこ(ナタリア役)コメント
脚本をいただいたとき、登場人物がみんな魅力的で、夢中になって読み進めていました。戦争という決して繰り返してはならない時代を生きながらも、生涯、芸術を愛し続けた藤田嗣治。その姿を間近に感じ、私も彼のそばで生きてみたいと思いました。
それが叶ったのは、鈴木アツトさん、そして劇団印象の皆さんとの出会いがあったからです。見つけてくださり、本当にありがとうございます。ナタリアと、そして共演者、スタッフの皆さんと、ご来場くださるお客様とご一緒できる時間を心から楽しみにしています。
二條正士(住喜代志役)コメント
この作品を再演するとお話をいただいた時、非常に嬉しく思いました。私にとってはアツトさんの作品に初めて携わった作品で、自分の信念と向き合わせてくれたお芝居です。
大戦の渦中で、人々が、国が、どのように歩んでいったのか。何を感じ、何を信じて生きていたのか。今一度、作品を通して向かい合ってみようと思います。
木山廉彬(多門土郎役)コメント
おそらく約11年振りに劇団印象に出演します。鈴木アツトさんも自分も大人になりました。たぶん。お互いの変化が楽しみでもあり、照れ臭くもあります。今から稽古が楽しみです。またこうやって再会して、作品創りができることは、俳優としての醍醐味の一つかもしれません。
藤田嗣治さんという実在の人物をどう描くのか?実在の人物を作品にする、そして上演する。すごいことです。覚悟をもってこちらの作品に携わりたいと思います。藤田嗣治さんに関わる人物として、ただただ責任を持って役を演じていきたいと思います。劇場にてお待ちしております。
椎名一浩(山田秋平役)コメント
「影響力」について。物理学の難しい部分では語れないけれど、物体というものは”他”の影響を受けなければそのままです。動物や人は細胞が集まって生きているし、感情があるから色んなことをぐるぐる考えます。そして自ら考えて行動に起こします。影響力のある人物、ことば、出来事、何であっても”他”と交わることでその大小はありながらも波を生むのだなと改めて思います。
芸術と政治と時代に翻弄されたフジタと彼を取り巻く人々を描く大作に挑むにあたり、そんなことを考えました。いま自分にできることをただやれたらと思います。
笹野美由紀(ユーリャン役)コメント
今からちょうど4年前に本作の初演を拝見しました。下北沢・小劇場B1の空気がギュッと濃く詰まっていて、文字通り固唾を呑んだのを覚えています。それを今度はシアターウエストで!雰囲気もガラリと変わりそうでワクワクしています。
私の演じるユーリャンは、パリで藤田に絵を描いてもらうことを夢見るモデルです。実際に藤田の絵を見ると、登場する女性たちは耽美的で肉感が生々しく迫ってくるようで、モデルたちがこぞって彼に描いてもらいたがったのもわかる気がしました。当時の熱気を舞台で生み出せるよう精一杯努めます。劇場でお待ちしております!
河野 賢治(陸軍兵士役)コメント
衝撃を受け、劇団印象に参加したいと思ったきっかけの『国家と芸術家シリーズ』に参加できるということで、既に喜びに溢れております。
僕の大好きな劇団印象作品の魅力的な登場人物たちに良い影響を与えられるよう、その結果見てくださる皆様にも、この作品の描くもの、また藤田嗣治を感じてもらえるよう、製作する意味を考えながら誠心誠意作品創作に向き合っていきたいと思います。
とくながのぶひこ(陸軍兵士役)コメント
初めまして、とくながのぶひこです。今回、初めて参加させて頂きます。コロナがあったり、ロシアがウクライナに侵攻したり、トランプがまた大統領になったり、ガザで6万人が亡くなったり、日本で初めて女性総理大臣が誕生?するかもだったり(2025/10/9現在)。目まぐるしく変化していく世界の中で、風化しつつある”あの時代”の臭いを今の私たちがどう咀嚼して吐き出す事ができるのか。今を生きる俳優として、何を”表現”とする事ができるのか。皆さんと一緒に素直に向き合っていきたいと思っております。よろしくお願い致します。
森本遼(陸軍兵士役)コメント
今回、劇団印象に初めて参加させていただきます。これまで客席から拝見してきた鈴木アツトさんの作品は、いつも想像を超える熱と誠実さに満ちていました。その現場に自分が立てることを、心から嬉しく思います。「藤田嗣治」は、芸術に生きる人の強さや弱さ、そして戦争という時代の重みも描いた作品です。一瞬一瞬を大切に、その世界を深く感じながら、真摯に向き合っていきたいと思います。
井上一馬(藤田嗣章役)コメント
藤田嗣治の父親を演じさせていただきます、井上一馬です。幸いにも初演に続き、再びこの作品に携われる事に感謝し、新しい発見を求めチームで団結して最期まで駆け抜けたいと思います。戦争を愛さず戦争画を愛した藤田嗣治。太平洋戦争中の演劇人たちも、演じ続ける為に信念を曲げて国家の指示通りの演目を演じていた。表現する自由を奪われる苦しみに、もがきながらも、表現し続けた者たち。私たちは同じ状況に置かれたら、果たしてどうするのだろうか。考える事から逃げてはいけないと思いながら、この作品と向き合います。
